中小企業庁から、「中小M&Aガイドライン」三訂版が出ました。本改訂によって、中小M&A市場における健全な環境整備と支援機関における支援の質の向上を図るという狙いがあります。 概要を経済産業省のホームページから引用しました。(https://www.meti.go.jp/press/2024/08/20240830002/20240830002.html)
1.改訂の趣旨
不適切な譲り受け側の存在や経営者保証に関するトラブル、M&A専門業者が実施する過剰な営業・広告等の課題に対応し、中小M&A市場における健全な環境整備と支援機関における支援の質の向上を図る観点から、中小M&Aガイドライン(第3版)において、中小企業向けのガイダンス及び仲介者・FA向けの留意事項等を拡充しました。
2.改訂の主なポイント
(1)仲介者・FA(フィナンシャル・アドバイザー)の手数料・提供業務に関する事項
中小企業向けに、手数料と業務内容・質等の確認の重要性、手数料の交渉の検討等について追記しました。 仲介者・FA向けに、手数料の詳細説明、プロセスごとの提供業務の具体的説明、担当者の保有資格や経験年数・成約実績の説明等を求めています。
(2)広告・営業の禁止事項の明記
仲介者・FA向けに、広告・営業先が希望しない場合の広告・営業の停止等を求めています。
(3)利益相反に係る禁止事項の具体化
仲介者向けに、追加手数料を支払う者やリピーターへの優遇(当事者のニーズに反したマッチングの優先実施、譲渡額の誘導等)を禁止し、情報の扱いに係る禁止事項を明確化しました。 加えて、これらの禁止事項について、仲介契約書に仲介者の義務として定める旨を明記しました。
(4)ネームクリア・テール条項に関する規律
仲介者・FA向けに、譲り渡し側の名称について、譲り受け側への開示(ネームクリア)前の譲り渡し側の同意の取得を求めています。 テール条項の対象の限定範囲・専任条項がない場合の扱いについて明確化しました。
(5)最終契約後の当事者間のリスク事項について
中小企業向けに、最終契約・クロージング後に当事者間でのトラブルとなりうるリスク事項を解説しています。 仲介者・FA向けに、当事者間でのリスク事項について、依頼者に対する具体的説明を求めています。
(6)譲り渡し側の経営者保証の扱いについて
中小企業向けに、M&Aを通じた経営者保証の解除又は譲り受け側への移行を確実に実施するための対応として、士業等専門家・事業承継・引継ぎ支援センターや経営者保証の提供先の金融機関等へのM&A成立前の相談や最終契約における位置づけの検討等の対応について明記しています。 仲介者・FA向けに、士業等専門家・事業承継・引継ぎ支援センターや経営者保証の提供先の金融機関等への相談が選択肢となる旨の説明、最終契約における経営者保証の扱いの調整を行うことを求めています。 金融機関向けに、M&Aの成立前又は成立後に経営者保証の解除又は移行について相談を受けた場合の「経営者保証に関するガイドライン」等に留意した適切な対応の検討が求められる旨を明記しました。
(7)不適切な事業者の排除について
仲介者・FA、M&Aプラットフォーマー向けに、譲り受け側に対する調査の実施、調査の概要・結果の依頼者への報告を求めています。また、不適切な行為に係る情報を取得した際の慎重な対応の検討を求めています。 加えて、業界内での情報共有の仕組みの構築の必要性を明記するとともに、当該仕組みへの参加有無について、依頼者に対して説明することを求めています。