9月日銀短観

概要

2025年10月1日に発表された「9月調査日銀短観」では、日本の大企業製造業の業況判断指数(DI)がプラス14となり、前回調査から1ポイントの改善を示しました。これは2四半期連続での改善を意味し、企業の景況感が高まっていることを示しています。

主なポイント

大企業製造業の業況判断DI: プラス14(前回比+1ポイント)

大企業非製造業の業況判断DI: プラス34(前回比±0ポイント)

設備投資計画: 2025年度の全産業の設備投資計画は前年比+8.4%と上方修正されており、特に製造業と非製造業の両方で堅調な結果が見られました。 業種別の動向 製造業: 自動車業界は特に改善が見られ、DIが前回比+2ポイントの上昇を記録しました。

素材業種: 一方で、鉄鋼や紙・パルプ業界は悪化が目立ち、鉄鋼業界のDIは前回比-11ポイントの低下を示しました。これは、米国の関税政策の影響を受けていると考えられています。

経済全体の見通し 日銀短観の結果は、企業の景況感が高水準を維持していることを示しており、特に設備投資の増加が期待されています。企業は人手不足に対応するための省力化投資やデジタル化、グリーン化に関連した投資を増やす見込みです。

-短観が示す質感-

1.景況感の水準は高いが、ムラあり 製造は+14まで改善、非製造は+34の高水準維持。ただし宿泊・飲食の急落や素材業種の悪化が“裾野の弱さ”を示唆。


2.投資サイクルは継続 全規模合計(土地含む)+8.4%: 大企業が牽引する一方、中堅(+5.6%)・中小(▲2.3%)が重し。 ソフト・R&D含む(土地除く)の設備投資でも全規模合計+9.5%と底堅い(省力化・DX・グリーン投資の持続)。

3.価格・コスト・需給の手触り 素材は在庫・価格転嫁の一巡感がにじむ一方、加工・投資財は相対的に底堅い構図。販売価格・仕入価格の判断指標も参照すると、コスト高の粘着と価格転嫁の選別化が読み取れる。

4.インフレ見通し 企業の1年後の物価見通しは2.2%(前回2.3%→小幅低下)、3年後・5年後はいずれも概ね2%台で安定。“高止まりから安定方向”のマインド。