10月22日に財務省が公表した「令和7年9月分貿易統計(速報)」の概要について
ポイント
(1)輸出・輸入ともに僅かに増加転じ、輸出入の回復傾向が見え始めています。
(2)貿易収支は依然として赤字、構造的な課題あり
絶対額ベースでは輸入が輸出を上回っており、収支改善には至っていません。
地域別には、米国向け輸出の数量が大きく落ち込んでおり分化構造を抱えていると言えます。
(3)品目構成・構造変化の兆し
半導体・電子部品の輸出は、数量ではなく価格に支えられている。
輸入では企業の設備投資意欲および海外進出・サプライチェーン再編の影響も考えられます。
地域別動向を踏まえると、米国市場の関税・競争環境、あるいは日本企業の現地生産シフトなど
が影響している可能性があります。
統計の概要
輸出額:9兆4,137億円(前年同月比+4.2%)
輸入額:9兆6,483億円(前年同月比+3.3%)
差引(貿易収支):▲2,346億円の赤字(3カ月連続)
品目別の増加寄与:
輸出では「半導体等電子部品」「鉱物性燃料」「原料品」が増加。
輸入では「電算機類(含む周辺機器)」「通信機」「航空機類」が押し上げ要因。
地域別動向:米国向け輸出は前年同月比-13.3%と減少。対中国向け、アジア向けなどではプラスに転じた
数量・価格分解:
輸出数量は前年同月比▲1.3%、輸出価格+5.5%。
輸入数量+5.9%、輸入価格▲2.5%。
季節調整値では、輸出前月比+2.4%、輸入+3.9%、貿易収支も赤字継続。